最近はnoteで色々書いてます。

アフリカ大陸で育つ幻のカルーラム【南アフリカ/ウィリストン】

アフリカ大陸で育つ幻のカルーラム【南アフリカ/ウィリストン】
世界羊旅7カ国目 南アフリカ

治安の悪い南アフリカ。

南アフリカといえば、治安の悪さが有名ですね。
最近は、改善傾向にあるみたいですが、首都のヨハネスブルグは世界一治安の悪い都市といわれていた時期もありました。
今でも、都市近郊では日常的に強盗や殺人が行われているという情報もあります。

直前に滞在していたオーストラリアにも、南アフリカは危険だからオーストラリアに移住してきたという夫婦もいました。

ましてや、私はレンタカーで観光客も寄り付かない、田舎の羊牧場に向かわなければいけません。

信号待ちをしているだけで、車の窓ガラスを割られ荷物を奪われることもあるそうです。

普段だったら、ビビりの私はそんな危ない国には行きませんが、

危険を冒してでも、どうしても食べてみたい羊肉があります。

未舗装の枯渇した大地を、レンタカーで500キロ先の牧場を目指しました。

グラスフェッドとは一線を画すカルーラム

カルーラムが育つ農場

日本から遠く離れたアフリカ大陸で育ち、
ヨーロッパで絶大なブランド力を誇るカルーラム。

あまりのブランド力に、昔はカルーラムの偽物が横行していたそうです。

そのため、2009年に真のカルーラムを保護するための認証機関が発足。 カルーラム認証制度を確立し、トレーサビリティを導入しました。その結果、カルーラムは南アフリカの食肉業界における最初の地理的表示(GI)が認められ、欧州市場でも保護されています。

カルーラムとして認定されるには、いくつかの厳しい条件があります。

まずは南アフリカのカルー地方でのフリーレンジが最低条件。飼料などにも厳しい決まりがあり、カルー地方に自生する植物を食べさせること。そのため、栽培された牧草地での飼育は認められていません。穀物や、サイレージ、またはその他の天然植物を含む栄養補助飼料の使用も、総摂取量/1日の必要量の最大30%までと決められています。

その他にも、いくつものルールで、品質を保護されています。

なぜ、こんなにも厳しいルールがあるのかというと、カルーラムの最大の特徴は、食べる餌によってもたらされる肉の風味にあるからです。

カルーラムの品質は、 官能テストと肉と脂肪の化学分析によって、南アフリカの他の地域から供給された仔羊と味、香り、脂肪、肉の組成が大きく異なることが確認されています。

オランダのワーゲニンゲン大学で食品真正性の専門家であるサスキア・ファン・ルース教授の分析の結果、カルーに自生する植物の特徴的な揮発性化合物(植物にその独特の香りを与える)が植物から腸管を介して、仔羊の脂肪や赤身に移動していることがわかったそうです。

カルーの植物とカルーラム肉の両方で、ローズマリー、柑橘類、レモンの香りを持っている揮発性化合物が検出されたそうです。

ソルトブッシュのデジャヴ

世界各国に様々なブランドラムが存在しています。

その中でも衝撃的だったのが、オーストラリアの高級ラム「ソルトブッシュラム」です。

ソルトブッシュラムの視察記はこちらにまとめました。

ソルトブッシュの美味しさの秘密は、飼料もさることながら品種による影響も大きいです。

ソルトブッシュの主要品種は「ドーパー」

実はこのドーパーは南アフリカが原産の品種です。

もちろんカルーラムの主要品種も「ドーパー」です。

しかし共通しているのはこれだけではありません。

下記の画像を見てもらえばわかる通り、羊たちが育つ環境も非常に似ているのです。

↑オーストラリア、ソルトブッシュの牧場。

↑南アフリカ、カルーラムの牧場

カルーラムの牧場にはソルトブッシュと似た植物も自生していました。

間違いなく、ソルトブッシュラムのルーツはこの国にありました。

ちなみに、カルーラムは決められた特約店でしか購入できません。

カルー地方にはほとんど特約店がないので、ケープタウンでカルーラムを味わうことにしました。

次回は、ケープタウンとヨハネスブルグで食べた羊料理について書きます。